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戦場体験放映保存の会・会合議事録(日時:2006年1月15日 場所:東京都渋谷、パルコ横ルノアール会議室)
議題|1.運動の目的、経緯などの確認2.証言者の拡大について3.財政問題4.組織について後日談


▲ 重田、磯部氏、梶山氏


▲中島
、大曲氏

▲ 井ノ口
、中田氏、田所氏

▲ 猪熊
、北村氏

出席者

元兵士の運動連絡所
井ノ口金一郎(85歳 北支・歩兵)
谷口末廣(85歳 ミンダナオ・歩兵)
磯部利彦(85歳 海軍兵学校卒、航空参謀)
稲村繁(84歳 陸軍航空隊・通信兵 満州・シベリア抑留)
猪熊得郎(77歳 陸軍特別幹部候補生、満州・シベリア抑留)
大曲覚(83歳 海軍予備学生〜飛行機整備科、硫黄島)
梶山登(80歳 軍属(船乗り)〜昭和20年陸軍)
重田巳代治(88歳 工兵、中国、満州・シベリア抑留)
関功(81歳 志願、歩兵、中国)
中島裕(79歳 陸軍・航空兵、満州・シベリア抑留)、
山本晋介 (中国戦線)

【兵士以外の呼びかけ人】
谷田川和夫(元兵士の運動連絡所世話人)
安富一雄
【若手賛同者】
朝風の会事務局員
北村毅(早稲田人間科学科大学院生(博士後期))
【事務局】
金秋蔦雄、川上剛太郎、鵜野嗣司、中田順子、清水義仁、提橋律子、瀬川義夫、片野利彦、相山睦子、田所智子

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1.運動の目的、経緯などの確認

中田:規約配布(会員証についていたが皆きちんとした形で見るのは初めて!)
規約より会の目的(第2項)、「無色・無償・無名」の原則(第3項)の確認。

田所:これまでの経緯を5分ほど演説。以下の3点を強調
(1)総会で5年15万人の方針を立てたこと(国民的運動、国民的継承でなければ意味がない。) 
(2)昨年8月15日を境に元兵士が呼びかけ、様々な世代が協力する運動へと主客を切り替えた。
(3)目下三月総会と1千人の呼びかけ人達成が次なる課題。

中田:磯部さんから会の在り方や愛称についてご提案を頂いたので紹介いただきたい。

磯部:私は入って未だ3ヶ月。ここで話すのは僭越だが、・・・(前回百万掲載の「虹の会」の提案、無色の意義(見受けるところ今9条堅持派の人が多いとは思うが懐の深い会になろう)、無名の意味(有名な人も無名の人も、古い人も新しい人も、元々の兵士の階級も関係なく、会の中では上下を作らない。兵士は将棋の歩で進めていこう)など)

中田:一朝一夕に結論が出る課題ではないが、こういう方向で議論を深めていきたい。


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2.証言者の拡大について

中田:紹介カードを作ったが、充分に活用出来ていない。こうしたら紹介できる、そろえて欲しい資料の要望、ここに紹介したらいいのでは、など意見が欲しい。

重田:自分の部下の事など考えてみても、証言は断るんじゃないかなという気がする。言ってみれば華々しい体験が無い。戦場体験としてわざわざビデオで語るようなものはないんじゃないか。シベリアにも部隊ごと行ったが、シベリアとしてはひどい方ではなかった。

井ノ口:華々しい戦闘の話ではなくても、戦場の話全てを、それは戦場での日常を含むと思うが、遺すことに意義がある。

猪熊:「戦場体験」の「戦場」という言葉はどうなのか。外地の戦闘が全てか?内地でも戦闘はあったのではないか?内地の特攻訓練だって戦場だし、私達は訓練中にそこが爆撃をされ300人のうち100人が死んだ。それも戦場だろう。仲間で沖縄に行ったグループは殆ど死んだし、台湾に行った者は殆ど生き残った。そういう日々の少しの差が本人達の意志とは関係なく大きな結果の違いとなった。あれだけみんなを駆り出して、訓練も含めてあんな馬鹿げた事にみんなで血道をあげた。そういうものを無数に集めて、その総体が後世への教訓になるのだろうと思う。「戦場」ということを狭義の意味で捉えてはいけないのだと思う。

井ノ口:全く同感。内地でも戦場と変わらない情景があるはず。

中島:今日初めて会の規約を見た。紹介するときに、どういう会かの説明が難しい。紹介したいと思う人に私自身が会のことが説明できない。例えば任意団体ではなく法人格をもっていれば信用を得やすいかもしれない。NPO法人という様な事はどうなのか?

田所:NPO法人化は当然視野には置いてきた。当初、それによって増える事務量などと勘案して実質の収入の規模が年間100万円以上ぐらいをNPO化の目安と考えていた。けれども、信頼を得るということで法人化が必要なら、当然財政規模だけで考えるものでもない。皆さんの意見を聞きたい。

川上:法人というなら内閣府の長年の社団法人「マスコミ世論研」の支持というものもある。法人でなくとも、どういうことをやっているかの中身をきちんと明示する事でよいのではないか?中身の充実のためにも会費制度をきちんと固める話が必要。

朝風の会会員:何故戦争体験を保存するのかを議論するべき。いろいろな考えを排除しないというが、結局色はつくのではないか?無色の枠に収まるとは思えない。戦場体験と言ってもなかなか一番最後のところの話はしない。逆に手柄話として話す者もいる。何故語ってもらうかがなければ、そこを敢えて話そうと言うことにはならないのではないか。

磯部:やはり無色でないと活動は続かないと思う。不戦兵士の会は出来たときには大変隆盛だったが、先細りになっている。これは、一つの色(9条改正反対、日米安保反対といった)を持っていたことも一因だ。まして15万人を集めるのであれば、入り口を広くする必要がある。入り口から狭める必要はない。

川上:保存会は、いろいろな立場、組織が相互乗り入れできる組織を目指すべき。
右の立場、左の立場も関係なく資料として保存会の記録を利用できる体制を目指すべき。そうすれば自ずと答えがでるであろう。

大曲:いわゆる作家の「戦記物」は少しも本当の事が書いていない。「大和」の映画も美化しすぎているし、私の硫黄島もそうだ。戦場というとどうしても男の発想に片寄る。今の80代や70代後半の女性の話も集めると見えるものはないか。


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3.財政問題

中田:別表(先にFAX)を提案。活動を維持するためには定期収入が必要。ご意見をいただきたい。特に賛同者募金(赤い羽根の募金みたいなもの)は、呼びかけを拡大する手法の一つともしたい

重田:賛同人というのは、例えば私の知り合いなんかの兵士で、証言はするほどの事がなくても、お金は出して参加したいとそういうのはあっても良いのでしょ。

中田:ええ、勿論です。

中島:単に外で募金を募集するのではなく、前回の大森の展示会のような公共の会場を借りて、イベントをして、来ていただいた方から募金をお願いしたい。そういうイベントをどんどん企画してほしい。街頭は難しいし、今は色々な団体が募金を集めては何に使っているか分からない状況があるので、やり方によっては、会の信用を失ってしまう。(幾人かが賛同の頷き)

磯部:私の取材は横浜で立派な部屋を半日とってもらってやった。女性が3人、男性が1人来た。その後ビデオが送られてきてびっくりした。私は写真が好きなので色々な人を撮ってきたが、私のことをあんなに長い間撮ってもらったのは初めてだ。二時間丸々私の顔だけが映っている。私は千円会費を払ったけれど考えてみたら部屋代もある、ビデオ代も、4人の若者をそのまま張り付かせるのだって金額にしたら1万できくんだろうか、数万かかるかもしれない。いや私は10万払ったってこれは欲しいなと思うようなもので、これは凄いことをやっているなと思った。

稲村:会員とサポーターはどう違うのか。誰を対象にしているのか?

中田:規約では会員は「趣旨に賛同する全ての人々」となっている。趣旨に賛同するとは、具体的には賛同して千円を払ってくれる、証言をしてくれる、或いはこの活動を広げるために動いてくれるそういったことを全部指す。

稲村:私は千円を払って会員になっているが、これは入会金で月額千円払うことになるのか?

田所:そうではない。会員、賛同者はあくまで千円だけ。

井ノ口:年会費千円ということか

田所:年会費にするかどうかはこれから。一応今は千円とのみなっている。

稲村:ならサポーターは何か。

中田:定期収入を考えられるスポンサーみたいなものだと考えている。

稲村:
ああ、言ってみれば動かんでもいいからお金を出して支援してくれということか。

磯部:
私の仲間のことを考えてみて、例えば声を掛ければ千円出す者は一杯いると思う。それであのビデオが送られてくれば、自分のビデオ代と思えばそれはとても安いものだ。けれどもそれを年々集めるということになると、会員になろうという人間はぐっと減りそうだ。

稲村:そもそも今の財政の収支はどの様な状況になっているのか?

田所:
月々のテープとか、郵送費とか、1万円以上かかるような遠隔地の交通費といった消耗品、全体で月10万円ぐらいだが、これはどうにか会からまかなっている。しかし普段の取材の為の交通費はボランティアが各自負担している。ベースになる事務所の提供や印刷・コピーの使用、電話やFAX、光熱費といったものは全部上田先生に頼っている。
口々に 会の収入はどこにあるのか

田所:1人千円の賛同会費で、残りは何人かの方の多額のカンパに寄っている。

稲村:まあ、一応やれているということか?

田所:否、これをやれているというのか・・・。

朝風の会会員:そんなもの、やれている訳がない。ボランティアが自分の時間を使って活動した上に自腹まで切っているから廻っているだけなんでしょう。

山本:とにかく負債だけはないという状態ですね。

稲村:ここにいるものがまあ20人として、毎月千円ずつ出すことにするとして20万か

一同:
いやいや

稲村:ああ、1万ずつ出せば20万か。

井ノ口:いくらかかるから、これくらい欲しい、例えば月々幾らとか3月総会ではっきり提示するべき。財政基盤がなければ長続きする活動は出来ない。

鵜野:
確かに財政論がない運動はありえない。そのための方法も再度事務局で整理しよう。1人千円も月額もどちらもあって良いと思う。

田所:ただ、これは理想論かもしれないが、活動の本来の主旨はあくまで「賛同一人千円」を拡大していくことだと思う。少ない賛同者から多くとる事を考えるよりも、広範囲の人に証言をしてもらい、賛同をしてもらって、お金を集めることが運動の拡大にも繋がる。例えば15万人の証言者が集まるなら財政問題は解決する。現実はすぐには難しいから月額制のサポーターも考える事になるだろうが、基本はそちらには無いということは確認しておきたい。(一同頷き賛同)

中田:財政案に関しては、もう一度事務局側で案を練って、提示します。


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4.組織について

中田:別表(先にFAX)を提案。

井ノ口:私たち自身が運営にかかわって行くことを考えなければならない。仕事の内容に応じて三つの部局を上げてもらい、事務局側の責任者の名前も出して貰った。元兵士の側でもそれぞれ担当と責任者をつけていただきたい。

井ノ口:4人の世話人はどこに入るのか?3月総会までの暫定的なものと考えて良いか?

中田:それは幹事会の代表世話人ではないか?

井ノ口:では26人の方はどうなるのか?

猪熊:3月総会までの事だが、規約を整理して、常任理事会と幹事会の関係性も明らかにしてほしい。いまいち、組織がわかりにくい。また以降会計年度との関係を考えて規約に総会の時期を設定した方が良いのでは。検討課題としてほしい。

中田:その当たりは総会で合意するため次回会議までには原案を用意する。

中田:それからこの場を定例化したい。月1回でどうだろうか。幹事会とすると良いと思うのだが。

稲村:戦争体験者の呼びかけ人が皆幹事会会員になるのかがわからない。どう違うのか?

磯部:私はこの会の中で元兵士は将棋の歩であるべきだと思っている。組織や運動の方向付けは若い事務局がやった方が良く、兵士が権威になるべきではないと思う。そういう意味で幹事会という呼び方には違和感がある。

猪熊:幹事会よりも「呼びかけ人会」にしたほうがよいのではないか?呼びかけ人という呼称はその主旨からしても残して活かした方が良い。現実に即した

一同:拍手で強く賛同・承認

中田:役割分担についてはどうか?勿論実務の力仕事は私たちが全部するが、その方向付けやアドバイスをして頂く相談役が欲しい。相手方から見ても私たちだけではなかなか信用されない。名乗りをあげて頂けないか。

一同:
・・・

田所:例えば証言を申し出たものの実際に話されるまでに少し不安があり体験者同士で話がしたいと言うような要望は多い。資料一つ作るにも、戦友会に声をかけるにも私たちの世代では分からないことが多い。その相談を現在は殆ど井ノ口さんや谷口さんにご負担頂いている。

一同
:・・・

重田:みんなこの場で名乗りにくいでもあろうから、事務局側から指名した方が良いのではないか?

鵜野:ではここにいらっしゃる方にはみんなお願いさせて頂いてよいということで、具体的な事は個別にご連絡させて頂くことにしてはどうか。

中田:
責任者は決定しなかったが、特にご都合の悪い方がいなければ各部署担当から皆様にご協力を仰がせてもらいます。

一同:うなずいて同意。

会議の定例化は賛成。毎回土曜の開催の方向で次回定例会は2月25日に決定。

中田:最後に今日折角来て頂いたのに未だ話しておられない方からも一言頂きたい。

山本:今日初めて参加した。戦場体験を保存する事の中身にまだ賛否両論があるように思った。もう少し、組織内で意思統一をしたほうがよいのではないか?ただ私達には時間が無い。5年と言わず急がねばならない。

関:私も初めて参加したので今日は思うところもあったが皆様のお話しを聞かせて頂いた。これから順次整理してまたアンケートなどに書かせて頂きたい。

猪熊:
確かに5年がたったら、ここにいるメンバーは半分になっているだろう。だからこそ、残りの時間をかけてこの運動の為に出来ることをしようではないか。


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余談ならびに後日談

【余談】
谷田川氏、中田女史との会議前の打ち合わせより
 この会の立ち上げを見たとき、掲げているものの大きさを見てこのままでは終わらないな、本当にやる気ならこんな方向で来るのではと思っていた。けれども立ち上げたけれども、その後実質動かないで何となくやっていく会も幾らでもある。その方が圧倒的に多いといって良い。それが、無理をした訳ではなく、皆の活動の積み重ねの上にごく自然な形でここまで来た。これは本当に素晴らしい事だ。
磯部さんは二次会で、「先日の上田さんの演説は頭の上から湯気が出るような情熱的な良い演説だった。あの人の言ってることは全く正しいよと思った。」

【後日談】
中島氏は早速親戚の元兵士から会費を収拾、昨日送りましたと連絡。
磯部氏は以前会員だった「日中友好元軍人の会」の代表幹事に連絡。会を挙げて協力してもらうよう、次回の議題としてもらったから資料提供を申請。


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