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国会は半数が血族議員!新2世3世議員
 私たちが一貫して調査報告してきた世襲議員の累増。2003年11月の総選挙も185人の世襲議員を生み出した。自民党の過半数!歴代首相の子弟18名、同じ一家からの複数議席は17家族・34名、現内閣16人の政治家中10閣僚。再選率は90.1%に及ぶ!
 しかも、これはまさしく小選挙区比例代表並立制の産物なのだ。
 総力を挙げた一覧表と分析を仔細にご検分頂きたい。

 「世論力テレビ」は、小選挙区比例代表並立制が生み出す日本議会政治の歪みを、特に「世襲議員」の累増の側面から一貫して調査報告してきた。
 2003年11月の総選挙による新政界図の分析をお届けする。

■2世・3世議員一覧(詳細データ)
■選挙区別2世・3世議員一覧(簡易版)
(1)総論  疑似・2大政党制と世襲議員
(2)家系支配 
   二百の家系による日本支配二百家系から抜け出る「名家」スタンバイしている新家系
(3)世襲議員を輩出するシステムと実態 
   2世3世議員は、どこから出てくる?今回初出場の世襲議員今回消えた世襲議員
   「若手議員」の資質と世襲議員現内閣で10閣僚が世襲議員

(4)この危険な選挙制度を直視せよ 

   異常な選再率の高さこの危険な選挙制度を直視せよ

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擬似2大政党制と世襲議員
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 この選挙が生み出した第1の特徴は「2大政党制」の到来と言われる。私たちはこれを「疑似・2大政党制」と厳しく批判する。これこそ小選挙区比例代表並立制が生み出す多種選択政治の否定であり、議会民主制の活性を奪うものである。政権交代を視野に入れうる勢力拮抗の2党の存在と言うが、その実質は第一自民党と第二自民党の成立にすぎず、「変える価値のある」政策の提示は望めない。安定的な政権委譲の距離ではなく同根政治のタライ回しの一種にすぎない。
 第2の特徴である世襲議員の大量存在は、この選挙で見かけ上、比率が微減した。しかし、前回と比べて世襲議員数が“第一党”を占める大台に揺るぎはなく、世襲議員に対する世評の厳しい眼を受けながらのこの結果は、むしろ今や日本政界の世襲体制は認知されたと見るべきであろう。
 第3に見逃してならぬのは、今回の選挙は現職議員の再選率が非常に高いことである。かつて、総選挙は毎回3分の一の議席が交代した。それが今回のような激変は小選挙区比例代表並立制が新人の進出を厳しく拒みつつ、一方で世襲議員を守り、つまり政界分布の現状維持に極めて有利であることを証明したものである。日本政治の保守化はもはや体質として定着しつつある。 私たちは、このような寡頭政党政治でなく、多様な政策競合を標榜する小党分立の原点に戻り、あらゆる個人が政治に参加で出来る選挙制度を求め直さなければならない。

 以下、前回調査との照合で点検することとしたい。


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 家 系 支 配
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◆二百の家系による日本支配◆

 この構造は変わらない。
2世・3世議員の累計では、衆院の全議席480中185議席(38.5%)。
 (前回の調査では、衆院の全議席479(欠員1)中181議席(37.8%)。) 

 ●自民党は244議席中126議席(51.6%)(前回は241議席中126議席(52.3%))
 ●民主党は176議席中 48議席(27.3%)(  〃 125議席中 32議席(25.6%))
 ●公明党は 34議席中  3議席( 8.8%)(  〃  31議席中  2議席( 6.5%))
 ●共産党は  9議席中  2議席(22.2%)(  〃  20議席中  2議席(10.0%))
 ●社民党は  6議席中  0議席( 0.0%)(  〃  18議席中  1議席( 5.6%))
 ●無所属の会 1議席中  1議席(100.0%)( 〃   4議席中  2議席(50.0%))
 ●無所属は  9議席中  5議席(55.6%)(  〃   9議席中  4議席(44.4%))
 ●自由党は     解    党         (  〃  22議席中  8議席(36.5%))
 ●保守新党は   解    党         (  〃   7議席中  3議席(42.9%))
 ●尊命は      議 席 な し        (  〃   1議席中  1議席(100.0%))

 この内訳は、
  4世3名。3世41名。1世代とび3世、2名。2世128名。1世代とび2世11名。
(前回調査では、
  4世3名。3世34名。1世代とび3世、3名。2世128名。1世代とび2世13名。)

 これで浮かび上がるのは、小選挙区制によって小地域ごとに威をふるう二百ほどの「家系」によって国会が寄り合い維持されているという姿である。 私たちは前回、小選挙区比例代表並立制は、世襲制を維持できる構造を肥大させる仕組みであると指摘し、最も端的なのは社民党で、早晩消滅するのみ。特殊領域政党の公明、共産もこの家系制度内に食い込み得ない。二百の家系による日本支配は選挙を重ねるごと、算術加算的に強固に凝集していく、と述べた。まさにそれが現実となった。

◆二百家系から抜け出る「名家」◆

 前回、戦後、歴代首相の親族で現在国会議員を現職で務める人々に注目した。今回は3人増えた。
 麻生太郎、鳩山由紀夫、鳩山邦夫、安倍晋三、池田行彦、佐藤信二、田中真紀子、田中直紀(参)、高橋紀世子(参)、松崎哲久、福田康夫、森田一、鈴木俊一、中曽根弘文(参)、竹下亘、宮沢洋一、羽田雄一郎(参)、小渕優子(参)。
 この人たちは、普通人では越えられない家系の壁に守られて出てきた点で他とは違う。首相の死亡がなければ本人も議員になろうと全く思っていなかったり、当選して「これから議員の勉強をする」という仁もいる。

 首相を出す出さないとは別に、同じ一家から複数の議席を握り、「名家」の実権を固めつつある家系もある。
 河野洋平・太郎親子、羽田孜・雄一郎(参)親子、野田聖子・鶴保康介(参)夫妻、田中真紀子(無所属)・直紀(自・参)夫妻、鳩山由紀夫(民)・邦夫(自)兄弟、亀井郁夫(参)・静香兄弟、西銘順志郎(参)・恒三郎兄弟、麻生太郎・鈴木俊一兄弟(義理)、村上誠一郎(自)・岡田克也(民)兄弟(義理)、坂本剛二・増子輝彦兄弟(義理)、中山太郎・泰秀(伯父・甥)、中川義雄(参)・昭一(叔父・甥)、渡部恒三(無所属の会)・佐藤雄平(参・自)(叔父・甥)、松崎哲久・高橋紀世子(参)(従姉)、加藤勝信・加藤紀文(参)(義理の従兄)、佐藤信二・安倍晋三(従兄の息子)、津島雄二・恭一(妻の従兄の息子)、前回の調査より4組増えて実に34名に登る。
 こうした名家は、他の二百家とはかなり差を付けてきている。アメリカのケネディー家などとは比ぶべくもないが、この選挙制度のもとでは、この新政治名家がやがて後世日本の政治地図を形成する重要な要素ともなりうるのだ。

◆スタンバイしている新家系◆

 これも前回の指摘のように「現在の二百家系は、主として前、元国会議員の世継ぎ継承である。しかし、この選挙制度は新たな家系の増殖を用意している」とおりである。
 135名の2世・3世議員の当選者は全300選挙区中45.0%(前国会は137名、46.1%)で、比例区の180議席中50名、27.8%(前国会は44名、24.4%)と比べて圧倒的な登竜門となっている。
 つまり、選挙区の県議、区議選以下の地域の縮小は、そうした小地域の利権や人脈、地脈に通じた市長、県議、市議という地域的実力者に国会に進出するコースを拓いたと言える。 目下、国会に登場していない2世、3世議員の子弟達が地方議員として各地でスタンバイしている実態をこの調査は浮き彫りにした。
 しかも、比例区はこの家系の救済網となっており、小選挙区で落選した34人(前回は13名)の2世、3世議員をここで当選させている。

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世襲議員を輩出するシステムと実態
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◆2世、3世議員はどこから出てくる?◆

 党派ごとに見れば、
  ●小選挙区選出の2世、3世議員は、
     自民党101、民主党27、公明党1、無所属の会1、無所属5。
     (前回は自民党102、民主党22、公明党1、無所属の会2、無所属4、自由党2
      保守新党3、尊命1)
  ●比例区選出の2世、3世議員は、
     自民党25、民主党21、公明党2、共産党2。
     (前回は自民党24、民主党10、公明党1、共産党2、自由党6、社民党1)
     この内比例区で復活した34人の内訳は、
      自民11人、民主21人、公明・共産各1名。
     特に民主党は、今回比例区独自候補を全く立てなかったので、
     人数が際だって多くなった。

 地域別に見れば・・・2世・3世議員の割合は、
  北海道地区 35.0%(小選挙区のみは50.0%) 〔前回は各々33.3%、53.8%〕
  東北地区   53.8%(    〃     64.0%)〔   〃   47.5%、61.5%〕
  北関東地区 44.2%(    〃     56.3%)〔   〃   41.1%、58.1%〕
  南関東地区 39.3%(    〃     41.2%)〔   〃   48.1%、54.8%〕
  東   京   16.7%(    〃     20.0%)〔   〃   21.4%、20.0%〕
  北陸信越   45.2%(    〃     60.0%)〔   〃   45.2%、40.0%〕
  東海地区   35.2%(    〃     42.4%)〔   〃   30.9%、38.2%〕
  近畿地区   33.8%(    〃     33.3%)〔   〃   28.6%、34.0%〕
  中国地区   58.1%(    〃     60.0%)〔   〃   56.3%、66.7%〕
  四国地方   57.9%(    〃     69.2%)〔   〃   63.2%、69.2%〕
  九州地区   28.8%(    〃     28.9%)〔   〃   28.8%、36.8%〕
   南関東(千葉、神奈川、山梨)の減少を除くと、前回とは各地とも微変である。


◆今回初登場の世襲議員◆

【自民3世議員】
◎谷公一(父;谷洋一) ◎中山泰秀(父;中山正暉) ◎葉梨康弘(葉梨信行の娘婿)

【民主3世議員】
◎小宮山泰子(父;小宮山重四郎) ◎近藤洋介(父;近藤鉄雄)
◎寺田学(父;寺田典城、秋田県知事)

【自民2世議員】
◎宇野治(宇野宗佑の娘婿) ◎江藤拓(父;江藤隆美) ◎奥野信亮(父;奥野誠亮) 
◎加藤勝信(加藤六月の娘婿) ◎西銘恒三郎(父;西銘順治) ◎原田令嗣(父;原田昇左右)
◎ 宮下一郎(父;宮下創平)

【民主2世議員】
◎岡島一正(父;岡島正之) ◎奥村展三(父;県議・町長) ◎梶原康弘(父;梶原清)
◎岸本健(父;岸本光造) ◎楠田大蔵(父;県議・町長) ◎下条みつ(父;下条進一郎)
◎計屋圭宏(妻;県議) ◎松崎哲久(伯父;三木武夫、義父;田中覚)

【共産2世議員】
◎高橋千鶴子(義父;町議)

【無所属2世議員】 
◎御法川信英(父;御法川英文) ◎西村康稔(義父;吹田ナ)


◆今回消えた世襲議員◆

 前回の調査との比較で40人である。内訳は
落 選…16人
引 退…20人
不出馬…4人

  引退20人中、子弟に継承させようとしなかったのが10名、継承させたのが6名(内2名は引退前に継承)、子弟が立候補するも落選したのが4名。
 落選の16人には、村岡兼造、太田誠一、松浪健太など個人的な理由のあるもの、自民・民主以外からの立候補のもの5人、国会議員の子弟ではないもの5人などの理由が認められた。
 なお不出馬4名は、中村喜四郎、坂井隆憲の犯罪がらみと、三村青森知事など知事選への転職組。


◆「若手議員」の資質と世襲議員◆

 前回、マスコミがしきりに企画した「各党若手議員」の討論を挙げ、未熟な彼らは2世・3世議員ばかりが占めている実態であるのを指摘した。
 彼らの当選回数別では、14回;1名、13回;2名、12回;4名、11回;5名、10回;5名、9回;6名、8回;13名、7回;6名、6回;13名、5回;25名、4回;21名、3回;31名、2回;28名、1回;25名。(前回は13回;1名、12回;5名、11回;9名、10回;4名、9回;9名、8回;9名、7回;13名、6回;6名、5回;16名、4回;26名、3回;22名、2回;30名、1回;31名。)
 
 どんどん増え続けている実態だが、ここで注目すべきなのは、当選回数の多い議員の中の2世・3世議員の多さである。
10回以上は22人中17人(77.3%)、 8回以上でも71.2%となる。



◆現内閣で10閣僚が世襲議員◆

 総選挙後の小泉第二次内閣で18名の閣僚の椅子の内、民間からの2名(川口、竹中)を除く16名の大臣の内10名が世襲議員で占めた。
 小泉純一郎総理大臣(3世)、麻生太郎総務大臣(3世)、谷垣禎一財務大臣(2世)、河村建夫文部科学大臣(父;県議会副議長)、亀井善之農林水産大臣(2世)、中川昭一経済産業大臣(2世)、石原伸晃国土交通大臣(2世)、福田康夫内閣官房長官(2世)、石破茂防衛庁長官(2世)、金子一義行革担当大臣(2世)。

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この危険な選挙制度を直視せよ!
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◆異常な再選率の高さ◆

 前項と関連して、見逃すことの出来ないのは現職議員の再選率の異常な高さである。
「飛行機と自分の選挙は落ちないと思って乗る」というジョークがあった。それほどに選挙は思いがけなく落選が起こる。3分の1は交代した。ところが今回はめっぽう再選率が高い。
 前職の再選率は82.3%(立候補者417名、当選者343名)、
自民・民主に限って言えば88.0%(立候補者341名、当選者300名)もある。
更に2世・3世議員に絞ると前職の再選率は、90.1%(立候補者162名、当選者146名)になる。
 これは世襲議員問題とは別に、小選挙区比例代表並立制が生み出す重要な問題として議会制の根幹を揺るがす深刻な課題である。
 前回、東京では現・前の大臣の自民党議員がばたばた落ちた。これが今回ほとんど復活した。比例区の復活当選と共にこの選挙制度は政界分布の現状維持と疑似2大政党制を安定させる機能を果たそうとしている。議会民主主義の機能不全として極めて深刻である。


◆この危険な選挙制度を直視せよ◆

 僅か3回の小選挙区制の選挙で、日本の政界は一変してしまった。
この選挙制度を放置してはこの社会の民主主義が立ち枯れることはもはや識者の中の共有の認識である。
 だからこそ、この制度を導入した当時の村山富市首相、野中広務自治相は雑誌の対談で「政治家の資質を失った選択であった」と告白した。しかも彼らは無為に前官礼遇を甘受している。後藤田正晴氏や宮沢喜一氏もこの制度の欠陥を指摘している。しかし、じつはこの制度の恩恵を受けてきた人々から改革の烽火が上がることはない。
 しかし、こうした現体制擁護派の声は細くとも、蘇生の道は主権者民衆の中にある。私たちが従来唱えてきた国民投票制度の導入は当然のことだが、この世襲議員の跋扈という分かりやすい事態を前にこれこそもっと大きく世論の認識と盛り上がりを求めなければならない。
 この調査がようやく多くのメディアの注目を集め米誌「ニューズウイーク」にも掲載されるに到ったことは当事者として嬉しいことだ。

 この際論及しなければならないのは日本司法府の意図的怠慢である。 2004年1月の最高裁判決は、さきの参議院選においての「1票の重みの不公平」(鳥取選挙区の1票は東京選挙区の5・6倍)を合憲(6判事は反対)とした。このように歴然とした不平等でも、敢えて合憲とする判決の不当は言うまでもないがそれ以上に最高裁が日本特有の“統治行為論”に拠って選挙制度の違憲・合憲判断そのものを回避するあり方は、もはや国民常識の許容の範囲を大きく超えている。
 上田哲は1998年4月29日、小選挙区比例代表並立制を違憲として行政訴訟を提起。最高裁第二小法廷は判事の多数派はこれを違憲とした。ところが最高裁は急遽、裁判を大法廷に上げ、原告には審理、弁論を認めると再三偽って、公選法213条は「百日裁判」を命じているのに、じつに770日も審理を引き延ばし、国会解散を待って2000年11月10日、裁判消滅とした。このような闇から闇へ裁判を葬って法理を曲げる最高司法府の姿勢は日本の法治主義の根幹を崩壊させている。
 こうした現状について特にマスメディアの覚醒が求められる。今日の政治不信、政党不信はかつて無い深刻さを示している。 私たちの今回の調査はその根源の理由を如実に表示する資料である。各方面でこの資料を活用されることを切望する。それは心ある国民が漠然と抱いている議会民主主義衰弱の病巣についての解明であり、日本の危機を改善する決して遠回りでない道であると確信する。
 わが局はこの資料を喜んで江湖に提供する。
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